日本でいちばん楽しそうな社員たち
こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。
先日、TKCが発行する「戦略経営者」という中小企業向けのビジネス&マーケティング誌のインタビュー取材を受ける機会がありました。掲載は10月号だそうですが、見本誌としていただいた8月号の「今月の1冊」というコーナーに紹介されていた「日本でいちばん楽しそうな社員たち」(佐藤勝人著・アスコム発行)に心引かれ、さっそくAmazonで注文してみました。
そのおもしろいことといったら! 読み始めたら止まりません。だって、著者である佐藤勝人氏が代表取締役専務を務める「サトーカメラ」では、接客に2時間3時間かけるのも当たり前。6時間ということだってある“非効率さ”。それなのに来客リピート率82%、利益率41%なのですよ。
栃木県のカメラ販売シェアは並いる大手家電量販店・カメラ系量販店を引き離して、15年連続ナンバー1。デジタル一眼レフカメラの販売シェアは60%以上にも達するというのですから、すごいではありませんか。
大手のターゲットは、栃木県の人口の10%程度である「カメラを買いたい、興味のある」・・・という人たちだけれど、サトーカメラはカメラに興味のない90%をもターゲットとしてお客さんの『想い出を一生キレイに残すために』をモットーに、接客にあたります。まずはカメラプリントに興味を持ってもらい、1枚1枚の写真を通じて会話を広げ、カメラへの興味へとつなげるやり方は本当に手間がかかりそうにも思います。
でも、タイトルにあるようにサトーカメラの社員さんたちは誰もが本当に楽しそうなのですよね。そこに感動があります。読んでいて、顧客からの苦情電話などに5〜6時間かけるのも当たり前という「ザッポス」のことを思い出しました。
効率化を求める世の中、そして「売れる」ための仕掛けを考えるのが当たり前の世の中・・・その中でサトーカメラで実践されている「売ることの楽しさ」を教えるという話は、本当に心に響きました。
ぜひぜひ、多くの人に読んでほしい1冊だと思います。
2012年08月29日
2012年08月20日
「もしもの備え」を自分のためでなく、“大切な人に贈る”という提案






2012年08月14日
P.G.C.D.〜創業者からの60通のメッセージと、それから。

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。
今日は私が9年間愛用しているスキンケアメーカー「P.G.C.D.(ページェーセーデー)」の創業者、野田憲男氏のことを紹介したいと思います。実は、このことについては、すでに私が毎月、原稿を執筆しているマーケティング専門誌「月刊アイエムプレス」にて掲載していますので、その時の文章をここに転載させていただきます。
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買収工作の危機を乗り越えた
化粧品メーカーのある取り組み
■社長が毎月送り続けた顧客へのメッセージ
毎月1日になると愛用している化粧品メーカー「P.G.C.D.」の代表取締役社長・野田憲男氏から「ご挨拶」と題したメールが届くようになって5年になる。毎回、1500字近くの長文で季節の挨拶から始まり、新入社員のエピソードや雇用の話、経済の話し、日々の思いなど多岐にわたり、特段商品のアピールをするわけでもない。届き始めた当初は、社長からのメッセージの体裁をとった新しい手法のメールマガジンで、きっとゴーストライターのような専門の書き手がいるのではないかと勘ぐっていたこともある。だが、とりとめのないようでいて、経営理念がしっかりと反映され、社員の一人ひとりを温かくそして厳しく見つめている様子が伝わってくる“社長からの手紙”に、「これは本当に野田氏からの顧客に対するメッセージなのだ」と確信し、いつか心待ちにするようになっていった。
■創業10年目に起こった買収工作で出荷停止に
(株)ペー・ジェー・セー・デー・ロジは、前身の(株)ペー・ジェー・セー・デーとして1999年に創業したスキンケアメーカーだ。フランス産の原材料にこだわった洗顔用石けんと美容液、日焼け止め用美容液などを「P.G.C.D.」というブランド名で発売、2ステップのシンプルなスキンケアを提唱し、“ファンデーション不要の素肌美”をコンセプトにしている。インターネットのみでの販売は現在では当たり前になっているが、テレビも新聞も使わずに専用のウェブサイトだけで行うのは当時としてはまだ新しい試みだったといえるだろう。その後、渋谷に自社ビルを建設し、サロンも併設。スキンケア講座を行うなど順調に顧客を増やし、約10年後の2008年3月期には年商18億にまで成長している。
ところが2009年12月、突然の買収工作のため出荷ができない状態となり、約2か月間、同社のサイトにはすべての商品が「欠品」と表示されることになったのだ。買収工作への対抗策として第2会社を設立。これが現在のペー・ジェー・セー・デー・ロジであり、新生「P.G.C.D.」となってから丸2年が経つ。出荷停止となってから2か月目に石けんの発売が再開されたものの、すべての製品がそろったのはそれからさらに7か月後のこと。かなり多くの顧客を失ったことは想像に難くない。 だが、同社は2011年の「Yahoo!BEAUTYあなたが選ぶ通販コスメ大賞」にノミネートされたすべての部門に入賞を果たすなど大きな支持を得て、復活を遂げている。
■トップのキャラクターこそが“ブランド”
月1回の社長からのメッセージは、こうした買収工作というアクシデントの3年前から始まっており、欠品のさなかにはタイトルが「お詫びとご挨拶」と変わりながらも、同社の状況や製品づくりへの思いなどが、相も変らぬ長文で届けられていた。当時のメールを振り返ると「この時期にお叱りに混じってお寄せいただいたお心使い改めてお礼申し上げます。直筆のお便り、お花、さりげなく同封いただいた示唆溢れる書籍。お客様との心の通い合いを宇宙のエネルギーのように感じたものでした。この世には善が溢れています。」とある。同社の製品を愛用している人が自分で使うために一日も早い出荷を願ったというだけでなく、その企業そのものを愛し、応援している様子が伝わってくる。
企業トップの生の声を届けることでブランドの個性を磨きたいと、月に一度メールを定期的に送ってきたという野田氏。今では企業経営の悩みを相談するメールが来たり、子育てに関して父親の役割について質問されたりとビジネスを超えた信頼関係を築きあげており、“トップのキャラクターこそがブランド”だと実感しているという。これはツイッターやフェイスブックなどのSNSの原型ともいえる形なのではないだろうか。4月からは双方向でのコミュニティの質を高めるべくステップアップを図ると聞いてわくわくしている。
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こうしてこの春、60通目をもって「社長からのメッセージ」は一旦終了したのですが、2か月後の6月に希望者を募って再開されています。実はすでに64歳になられるという野田氏は、この4月から社長の座を息子に譲ったのでした。その後、どんな形でコミュニケーションを再開するかについてはずいぶん話し合いがもたれたようですが、野田氏からのメッセージは、これまでどおりの「メール」という形で残すのが一番ではないかと。
同社はWEBサイトも刷新され、新たな息吹を得て、さらに飛躍しようとしています。
私自身が9年間も愛用しているのは、ものづくりへの姿勢や顧客へ真摯な対応というのもありますが、「ファンデーション不要の素肌美」を目指すというコンセプトが気に入っているから。それに肌にも合っているのでしょう。ここ1〜2年、テレビや雑誌などへの出演が増え、収録や撮影時にはどうしてもファンデーションを塗らないといけないために、なかなか“素肌美”をお見せすることができないのですが(笑)、普段の打ち合わせ等では「ポイントメイクのみでファンデーションなし」の姿勢を貫いています。
こんなP.G.C.D.の誕生に至るまでのストーリーについては、野田さんご自身が2006年1月31日〜12月29日の1年間かけて、ブログに綴っていますのご興味がある方はぜひ。
P.G.C.D. STORY:
買収工作の危機を乗り越えた
化粧品メーカーのある取り組み
■社長が毎月送り続けた顧客へのメッセージ
毎月1日になると愛用している化粧品メーカー「P.G.C.D.」の代表取締役社長・野田憲男氏から「ご挨拶」と題したメールが届くようになって5年になる。毎回、1500字近くの長文で季節の挨拶から始まり、新入社員のエピソードや雇用の話、経済の話し、日々の思いなど多岐にわたり、特段商品のアピールをするわけでもない。届き始めた当初は、社長からのメッセージの体裁をとった新しい手法のメールマガジンで、きっとゴーストライターのような専門の書き手がいるのではないかと勘ぐっていたこともある。だが、とりとめのないようでいて、経営理念がしっかりと反映され、社員の一人ひとりを温かくそして厳しく見つめている様子が伝わってくる“社長からの手紙”に、「これは本当に野田氏からの顧客に対するメッセージなのだ」と確信し、いつか心待ちにするようになっていった。
■創業10年目に起こった買収工作で出荷停止に
(株)ペー・ジェー・セー・デー・ロジは、前身の(株)ペー・ジェー・セー・デーとして1999年に創業したスキンケアメーカーだ。フランス産の原材料にこだわった洗顔用石けんと美容液、日焼け止め用美容液などを「P.G.C.D.」というブランド名で発売、2ステップのシンプルなスキンケアを提唱し、“ファンデーション不要の素肌美”をコンセプトにしている。インターネットのみでの販売は現在では当たり前になっているが、テレビも新聞も使わずに専用のウェブサイトだけで行うのは当時としてはまだ新しい試みだったといえるだろう。その後、渋谷に自社ビルを建設し、サロンも併設。スキンケア講座を行うなど順調に顧客を増やし、約10年後の2008年3月期には年商18億にまで成長している。
ところが2009年12月、突然の買収工作のため出荷ができない状態となり、約2か月間、同社のサイトにはすべての商品が「欠品」と表示されることになったのだ。買収工作への対抗策として第2会社を設立。これが現在のペー・ジェー・セー・デー・ロジであり、新生「P.G.C.D.」となってから丸2年が経つ。出荷停止となってから2か月目に石けんの発売が再開されたものの、すべての製品がそろったのはそれからさらに7か月後のこと。かなり多くの顧客を失ったことは想像に難くない。 だが、同社は2011年の「Yahoo!BEAUTYあなたが選ぶ通販コスメ大賞」にノミネートされたすべての部門に入賞を果たすなど大きな支持を得て、復活を遂げている。
■トップのキャラクターこそが“ブランド”
月1回の社長からのメッセージは、こうした買収工作というアクシデントの3年前から始まっており、欠品のさなかにはタイトルが「お詫びとご挨拶」と変わりながらも、同社の状況や製品づくりへの思いなどが、相も変らぬ長文で届けられていた。当時のメールを振り返ると「この時期にお叱りに混じってお寄せいただいたお心使い改めてお礼申し上げます。直筆のお便り、お花、さりげなく同封いただいた示唆溢れる書籍。お客様との心の通い合いを宇宙のエネルギーのように感じたものでした。この世には善が溢れています。」とある。同社の製品を愛用している人が自分で使うために一日も早い出荷を願ったというだけでなく、その企業そのものを愛し、応援している様子が伝わってくる。
企業トップの生の声を届けることでブランドの個性を磨きたいと、月に一度メールを定期的に送ってきたという野田氏。今では企業経営の悩みを相談するメールが来たり、子育てに関して父親の役割について質問されたりとビジネスを超えた信頼関係を築きあげており、“トップのキャラクターこそがブランド”だと実感しているという。これはツイッターやフェイスブックなどのSNSの原型ともいえる形なのではないだろうか。4月からは双方向でのコミュニティの質を高めるべくステップアップを図ると聞いてわくわくしている。

2012年08月13日
“東北福興弁当”のお品書きと、あぶくま食品の「若桃の甘露煮」と。

2012年08月07日
粗利益率38.9%、「でんかのヤマグチ」の見える化とは?
2012年08月06日
これぞコト提案〜西友の「KY TIMES」が面白い!
以前から気になっていて、ぜひ書こうと思っていたのがSEIYU(西友)のチラシ「KY TIMES」のこと。チラシというより西友が発行するフリーペーパーと言ったほうがいいかもしれません。