2012年08月07日

粗利益率38.9%、「でんかのヤマグチ」の見える化とは?

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

日経トップリーダー8月号の特集は「業務向上の切り札 見える化大作戦」。中でも目を引いたのが、町田市の家電販売店「でんかのヤマグチ」の社長、山口勉氏へのインタビュー。メーカー、流通共に、家電業界の不振が伝えられる中で、「でんかのヤマグチ」の2011年3月期の売上高は約13億円。粗利益率は38.9%という高収益。安売りをしないかわりに、地道な訪問営業を重ね、電球1個でも取り付けにいくなど、地域密着型の家電店として業界内だけでなく、経営者たちの間でも広く知られるお店です。

さて、その「でんかのヤマグチ」が行っている「見える化」とは? それは毎日粗利益率を表に手で書き込み、過去と比較しながらすぐに対策を打つことだといいます。サッカーやバレーなどの監督と同じように、山口社長自らが、一番最初に結果を見てショックを受けたり、喜んだりすることで社員全体の気持ちを1つにしていくのだといいます。

出張先でもFAXで報告させて常に把握しておくといいますから、さすがです。経営の状態を常に「見える」ようにしておくことこそが、経営者として最も大事なことなのですね。

とはいえ、私自身がインタビューを読んで最も心に残ったのは、こうした数字のことではないのです。私も一経営者でもありますが、残念ながらというか、恥ずかしながら数字には弱いほうで、どれだけお役立てるような仕事ができたかどうかなど、自分自身の充実度や達成感のようなものを優先してしまうんですよね。

そんな私の心をとらえたのは、「でんかのヤマグチ」が最近最も力を入れているという「顧客の見える化」ということ。顧客がどんな家電をいつ買ったのかがわかれば、提案の幅が広がるからと、同店からの購入分だけでなく、営業担当者が訪問時に他社で購入した家電に気づけばそれを聞き出して顧客台帳に反映しているのだといいます。

今は大手家電量販店でもポイントカードなどの仕組みで、ある程度は購入履歴が把握できるかと思いますが、それを顧客への提案に使うまでには成熟していません。なくしてしまいがちな保証書も、購入履歴がわかれば一括で管理できるような仕組みがあればいいのにという声も聞きます。

必要としていないものの押し売りはいけませんが、そろそろメンテナンスが必要なころに訪問して、様子を聞く。やり方がわからないようなら、アドバイスしたり、手伝うなどして、部品交換が必要なものは用意する・・・そんな地味な1つ1つの行いが、顧客との信頼関係を生み、「ここで買えば安心」という気持ちを培うことができるのだと思います。

みんがネットで買うようになれば家電量販店も電器店もいらなくなるというような理論を持ちだす人も増えているようですが、本当にそうでしょうか。まだまだ家電量販店にもきっと打つ手があるはず。それはたぶん、こうした「顧客の見える化」あたりに鍵があるように思います。