2012年09月30日

歯磨き粉もシャンプーもキーワードは“個人ニーズ”への対応

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

突然ですが、家に歯磨き粉、何種類置いてありますが? バスルームのシャンプーは?

わが家ではご覧のように歯磨き粉が洗面所に3本、バスルームにも違う種類のが1本。シャンプーは家族3人、それぞれ違う種類のものを使っています。

歯磨き粉もシャンプーも高級化が進んでいるだけでなく、個々の悩みや「洗い上がりをこうしたい」などの要望に応えるために“1人1本”の時代になってきているのだといいます。先日、新聞に数字も出ていましたが国内の歯磨き粉市場は1980年代〜2000年までは600億円台で推移していたのに、今世紀に入ってから「1人1本」需要と、単価アップが重なって、700億円を突破したのだとか。

これまでシャンプーや歯磨き粉といえば家族で共有が当たり前。年頃の女の子がいる家庭では、「お母さんと娘用」のちょっと高級で香りのいいものが別に置かれていたりしたくらいでした。それがスカルプヘアだったり、エイジング世代用の「ハリとコシを与える」ものだったり、カラーリングヘア用だったりと本当に多種多様になって、個人のニーズに合わせたものをそれぞれが選んで使うようになってきたのですね。

さらに言うなら、その時々に応じて、1人で何種類もの歯磨き粉やシャンプーを使い分けている人だっていることでしょう。

歯磨き粉やシャンプーはとてもわかりやすい例ですが、日用品の「個人ニーズへの対応」というのは、実はもっと多岐に及んでいるように思います。洗濯用の洗剤しかり、ボディシャンプーや石けんしかり。今後、家電にもこうした考え方は広まるように思います。

現に、毎日のごはんも、お母さんは健康のために玄米を食べたいけれど、お父さんや子どもたちは玄米を好まないので、自分用の玄米をまとめて炊いておいて冷凍しておき、家族用には普通に白米を炊いて、自分はレンジで温めた玄米を食べている・・・というような話も聞きます。
となえうと、1台の炊飯器で多種多様に炊ける機能がついていることよりも、小さな炊飯器でそれぞれを炊くという家も出てくるかもしれません。

「個人のニーズへの対応=カスタマイズ化できること」というキーワードの中に、これからの製品づくりのヒントがあるように思います。



2012年09月27日

【戦略経営者10月号インタビュー掲載】中小家電メーカーに送るメッセージ

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

TKCが発行している月刊誌「戦略経営者」10月号の巻頭特集は「ナショナルブランドに挑む中小家電メーカー奮闘記」。このビジネス&マーケティング誌は“年商50億を目指す企業の情報誌”がコンセプトですでに312号も発行している老舗の月刊誌です。

で、この特集ページにて、見開き2ページのインタビューを受けものが掲載されました。家電業界の現況や、顧客のニーズとはどこにあるのか、どこを攻めていくことが大事なのか・・・など。

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私がインタビューをしてそれを記事にすることはあっても、私自身が述べたことがこうした記事になることは、そんなにないので身が引き締まる思いがします。

家電コンシェルジュとして家電業界を取材し、消費者にわかりやすく伝える仕事をしている一方で、顧客視点アドバイサーとして企業の方のお手伝いをしているその両面をみてくださったのだと感謝しています。

もしも、お手にとる機会があったら、ぜひお読みくださいませ。ここに書いてある内容は家電業界に限らず、いろいろな業界・業種に共通することだと思います。

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2012年09月24日

英国で見つけた「附録付き雑誌」はやっぱりオシャレ!

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

8月末〜9月上旬にかけて8日間にわたってドイツ、スウェーデン、ハンガリーへ海外取材に行ってきました。行きも帰りも英国ヒースロー空港でのトランジットが結構長く、特に帰りの便では4時間程度あったので、空港内を散策(?)する時間がずいぶんありました。そんな時間、書店で雑誌や書籍を見るのは楽しいものです。雑誌の判の大きさの違いにへーと思ったり、特集ページやファッション誌でトレンドを探ったり。

仕事柄、海外のキッチン家電のことを知りたいと思い、インテリア雑誌を2冊購入したのですが、そのうちの1冊は、ご覧の通り、手帳の附録付き! インテリア雑誌以外にも、いくつか附録がついているものを見かけたので、日本の宝島社の「エコバッグ付きファッション誌」みたいな流れは、世界的な潮流なのかなと。

で、私自身、購入のきっかけになった「HOUSE&GARDEN」誌の附録の手帳ですが、これってファブリックメーカーの老舗「GP&JBAKER」のものなのですよね。本誌をひっくり返してみると、今回の手帳の柄と同じ壁紙が張られた部屋の様子が一面に描かれていて、同社のタイアップ企画なのだなあとわかりました。

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帰国後、あらためてこのGP&JBAKER社について調べてみると、ジョージ・パーシブルとジェームズ・ベーカー兄弟によって1884年に創業したファブリックメーカーで、伝統的かつ独自のテキスタイルを次々に生み出しているのですね。王室御用達のファブリックメーカーとして王室の住まいに多数使われているそうです。

私が空港の書店でついつい、手にとってしまったのも、やはりデザインの美しさと、ハガキサイズの手ごろな大きさの手帳ということから。表紙部分もとてもしっかりとしていて、高級感がある作りになっています。

日本ではエコバッグ一辺倒からポーチその他、附録のバリエーションも増えてきていて少しずつ流れも変わってきているように感じます。また機会があったら、海外の書店をのぞいて、どんな附録がついているのかチェックしてみたいなと思います。そこにはきっとお国柄も表れているでしょうし、今後の何かのヒントが潜んでいることでしょう。

とても素敵なサイトです。 GP & J Baker



2012年09月22日

西友のKY TIMESのこと再び〜顧客に何を伝えるか

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

昨日(2012年9月20日付)の日経MJ14面、ご覧になりましたか? 私が先月ここで取り上げた西友の新聞風のチラシ、「KY TIMES」のことが大々的に取り上げられていました。

単純に読み物として読者の関心を呼ぶ紙面構成にこだわっていることや、1面から終面までのページの流れの仕組みなど、私の気づきと同じことが書かれていて、「ほほー、私も先見の明があったなあ」とにんまりした次第です。

でも、さすが日経MJですから、ちゃんと西友の広告宣伝部のシニア・ダイレクターの方に取材をしており、紙面のカラーについても触れていました。私は黄色と赤の配色のものがなくなってしまったのだと勘違いしていましたが、これは食品が中心の場合で、住居雑貨や衣料が中心の場合には、先日ご紹介したように白地に青を配色して落ち着いた感じに見せているようです。

2011年9月に始めた(つまり、ちょうど1年前ですね)KYタイムスですが、約700万部を月に1回配付。紙媒体の宣伝費はチラシだった2008年に比べ、45%も減ったといいます。一方、KYタイムス見た人はチラシの時よりも10%以上アップしているという調査結果が出ているそう。独自性を評価し、“興味をひかれた”人も全体の72%にも。

MJで、山根清志記者も「値下げ競争に陥りがちな商品と価格ばかりのチラシを見直し、顧客に季節ごとの暮らし方や新しい生活のアイデアをじっくり伝える工夫はほかのツールでも実践できるはず」と結んでいます。

本当にそのとおり。何も手間のかかる新聞を作ることが素晴らしいのではなく、お店の姿勢を伝えられるような、捨ててしまわずとっておきたくなるようなチラシを作ったり、店頭のPOPで伝えたり、さらにはネットショップでのページづくりを考えたり。“伝える工夫”、まだまだきっとあります。

これぞコト提案〜西友の「KY TIMES」が面白い!: 神原サリーの顧客視点マーケティング



2012年09月21日

“50歳から”のシニアブランド!?

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

ベビーブームの時に生まれた団塊の世代が定年を迎え、高齢者の人口比率がますます高まって、狙うは“シニア市場”だといわれています。私が専門としている家電分野もまたしかり、いわゆるディンクス等の高所得の少人数世帯に加え、子どもが巣立った後の夫婦二人世帯向けの「小さくて高機能”な家電が注目されています。

そして、またアンダーウェアやパジャマ、レッグファッションなどの繊維業界も、決して見過ごすことができないのが、このシニア市場なのです。「シニアのための下着」というと、たとえば新聞の全面広告などに見られる「漏らしても安心」「100CCまでしっかり吸収するから、旅行も楽しめます」などというものを思い浮かべる方が多いかもしれません。若い人から見たら、“介護される一歩手前”というイメージでしょうか。

ところが、まだそこまでは行かなくても、男性の場合、40代後半から50代になるとトイレに行った後の“切れが悪く”なり、スラックスへの染みが気になる・・・という人もだんだん増えてくるのだとか。

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また、体型も知らず知らずのうちに変化して、これまでのシャツでは何となく前身ごろの肩から胸のあたりにかけてシワが寄ってしまったりしてフィット感がなくなるのだそうですね。アンダーウェアがぴったりしていないと、必然的にワイシャツを着た際にもパリッとした風に見えず、姿勢もよくないように見えてしまうといいます。

そんな体型の変化や、トイレの後のちょっとした悩みに応えるべく誕生したのが、グンゼの「GRANDFIT(グランフィット)」というブランド。

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化粧品などもそうですが、これまで女性向けには年代向けに「〇歳からの」というような打ち出し方をした商品が多く出ており、ターゲットをしぼって、機能などをはっきりとわかりやすく謳っていますが、実は男性向けにはそうした商品というのはほとんど存在しません。

案外、男性のほうがプライドが高くて、年齢をはっきりと打ち出されるのがきらいなのかもしれません。

というわけでグンゼが今回、新ブランド「グランフィット」について、“50歳からの”とはっきり示しているのは、大きなチャレンジなのです。

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よく見ると、このように「尿じみ対応」「はっ水加工」「表面へのしみを防止」などのPOPも見られ、「実はみんな悩んでいるんですよ」ということを説明しています。

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先ほど例に挙げたような、いかにも老人向けという下着を通販などで買うところまではいっていないけれど、ひそかに悩んでいたことが解決されたらうれしい・・・というところに着目。デザインも白や黒のブリーフだけではなく、ストライプ柄のカラフルなものも用意されていて、いいなと思います。

それに、こんなふうに説明しておいてくれたら、だんなさんの下着を買いに行った奥さんも「困っているかどうかはわからないけれど、試しに買ってみたら喜ばれるかも」と選ぶかもしれません。

「これは、あなたのために考えたものですよ」ということがしっかりと伝わることって大切ですよね。

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とはいえ、「50歳からの」と打ち出していながら「新・シニアブランド」と名打っているのはちょっとどうかなとも思うのです。だって、50歳の人が「シニアブランド」ということに納得すると思います?

このあたり、「熟年」「壮年」あたりにも通じることですが、何かほかにいい言葉ないかなあと思います。まあ、冒頭の画像に書いてある「新・シニアブランド」というのは、展示会での説明パネルなので、あくまでも業界の内輪向けの話で、顧客に向けて「50歳からの新・シニアブランドです」とは言わないとは思うのですが。

いずれにしても、加齢による悩みに応えるべく機能性は高めつつも、デザイン性は損なわないおしゃれなもの・・・というのは、このようにアンダーウェアの世界にも続々登場してきているのです。今回は男性向けのものに着目しましたが、もっともっと進んでいる女性向けの下着の現状についても、またあらためてご紹介したいと思います。