2012年10月24日

ケルヒャー ジャパンの成長理由は“カスタマーセントリック”

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

毎月、連載執筆をしているマーケティング専門誌、月刊「アイ・エム・プレス」2012年11月号が発売されました。いつも業界情報を切り取る「ふぉーかす」というコーナーの『メーカー』というジャンルのページに原稿を執筆しています。

今号で取り上げたのは、高圧洗浄機で知られるドイツのメーカー「ケルヒャー」の18番目の現地法人となる『ケルヒャー ジャパン』の顧客満足度を高める社員たちの取り組みについて。

ケルヒャーは業務用・家庭用を合わせて、世界190カ国で約3000種類の製品を展開している世界最大の清掃機器メーカーですが、ケルヒャー ジャパンは世界第5位の売上を誇り、昨年11月には100億円の売り上げを達成しています。

そんなケルヒャー ジャパンの2012年度の目標は「社員満足&顧客満足ナンバー1」というもの。社員の満足度が高さが顧客満足度にもつながるというのが社長の佐藤八郎氏の考え方なのです。

8月に宮城県にある本社や家庭用製品修理センターを訪れて、取材をしてきましたが、修理センターでの取り組みについては目を見張るものがありました。中でも心に残ったのが顧客へのアドバイスレターやフォローアップの電話です。修理依頼品をみると、顧客がどんな使い方をしたのかが予測できるため、今後再び不具合を起こさずに快適に使ってもらえるようにと、懇切丁寧なアドバイスレターをいうのです。製品購入から修理依頼までの期間が短い人には、さらに電話をして説明をすることもあるという念の入れよう。

しかも、このエピソードにはまだ裏があって、こうした取り組みは社員が自発的に行っていたことで、社内で決められたことではないというのです。たまたま佐藤社長の知人がケルヒャーの製品の修理を頼んだ際に、こうした対応が行われていて素晴らしいと社長に連絡。そこではじめて、そうした取り組みが行われていることを知ったとのこと。

まさに「社員満足度=顧客満足度」なのだなと思わされるエピソードではありませんか。ケルヒャーが全世界に掲げる中期戦略のキーワードは「カスタマーセントリック(お客さま中心)」だといいます。IFAでドイツ本社のブースも取材してきましたが、世界1の清掃機器メーカーとなって多くの人に愛される理由がわかったような気がします。



本誌では、もう少し丁寧に説明していますので、興味をもたれた方はぜひ。

■月刊「アイ・エム・プレス」 http://www.im-press.jp/magazine/index.html


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2012年10月22日

宮崎県庁にみる“おもてなしの心”の大切さ

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

先日、出張で宮崎に行ってきました。福岡、佐賀、長崎には何度も行ったことがあるのですが、宮崎は初めてのこと。初日の仕事が早めに終わったので、“観光名所”の1つである宮崎県庁に足を運んでみました。

JR宮崎駅から徒歩10分程度のところにある宮崎県庁ですが、外観の写真だけでも撮って帰ろうと思っていたところ、門のところにいた警備員の方がにこやかに「どうぞ中に入ってみてください」と声をかけてくださいました。それならせっかくだからと、そのまま奥の入り口へと足を進めると、入り口付近に立っていらした職員の方もにこにこと笑顔で声をかけてくださり、「これが資料になります」と県庁の歴史などを記した印刷物を手渡してくれたのです。

歴史ある建造物のあちらこちらに、まるで博物館のごとく説明書きがあり、館内ですれ違った職員の方が「ここを進むと、ぐるっと一周できるのでどうぞ」と案内してくれます。

決して押しつけがましくなく、のんびりとした口調なのですが、絶妙なタイミングで声をかけてくれるため、来訪者がとてもリラックスできるのですよね。こうしたサービスこそ、まさに「おもてなしの心」なのだと実感しました。

翌日、利用したタクシーの運転手さんの話によれば、前知事の東国原英夫氏の功績は本当に大きかったとのこと。4年の任期の間に宮崎県の知名度を高め、観光客の数を増やし、産業を活性化させたことは揺るぎない事実のようです。東国原氏が任期満了後は、明らかに県庁を訪れる人も減り、観光客そのものも減少傾向にあるそう。でも、宮崎の名産品のことなど、広く知れ渡ったので、そんなにすぐには忘れられないはずなので、これからは自分たちががんばらないと…と話してくれました。

かくいう、このタクシーの運転手さん自身も、おもてなしの心がいっぱいで、慣れない土地での移動を本当に助けてくださったのでした。

たぶん、宮崎県民ならではの穏やかでのんびりとした気質や、訪れる人を温かく迎えようという“おもてなしの心”と、東国原前知事の熱心なPR活動は根源が同じところにあるのではないでしょうか。

「おもてなし」とは、表も裏もない心でお客様を迎えること、言い換えると、見えるところもそうでないところも同じ気持ちでお客様を迎える・・・ということでしょうか。

サービスの真髄とは「おもてなしの心」にあるというのは言い古された言葉かもしれませんが、宮崎を訪れて、そんなおもてなしの心に直に触れ、その大切さを心に刻んだのでした。

2012年10月18日

ビックカメラ×ユニクロ、コラボで生まれた“デザイン洗濯機”

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

昨日はテレ東さんの番組のロケ、そして今日は女性誌の撮影と、連日新宿の「ビックロ」にお邪魔しています。たくさんのお客様が来店している中で、テレビカメラの前で話したり、時には演技をしたり、モデルさんのようにカメラの前でポーズをつくるのは、気恥ずかしかったりもしますが、その一方で、ビックカメラ、ユニクロの双方の広報担当の方と知り合うことができ、いろいろとお話をうかがうことができて、よかったなと思っています。

まだ9月27日にオープンしたばかりのこともあって、あちらこちらで話題になっているビックロですが、コラボレーションによる思いがけない相乗効果がどんどん生まれていて、常に模索しながら進化しているのが、このビックロのよう。

今日、ユニクロのほうの売り場で目を引いたのが、何と、パナソニックの「プチドラム」にカラフルなドット柄を施した“デザイン洗濯機”。通常のプチドラムにドット柄のステッカーを張り、その表面をラッピングしているものなのですが、私の撮った写真よりも現物はずっとずっと可愛いしオシャレ。それをユニクロのドット柄のファッションに身を包んだマネキンと一緒に展示しているのですから、本当に楽しい売り場になっています。

元々、「プチドラム」というのは、これまでドラム式洗濯機を置きたくても、大きすぎて置けなかった人のために、マンションサイズに小型化して誕生したもの。つまり、新宿東口のユニクロを訪れるような世代にぴったりの洗濯機なのですよね。

それに加えて、ユニクロの来店客のイメージに合わせたような「デザイン洗濯機」を提案して注目させる・・・いいですよね。ドット柄はいらない人でも、「あれ?こんな小さなドラム式洗濯機あったの?」と注目してもらえるきっかけになりますもの。

進化なのか、変化なのか・・・とにかく日々変わっていく売場や商品提案力に目が離せないなと思います。

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2012年10月14日

“顧客視点アドバイザー”がメジャーな肩書きになった日。

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

私が自ら名付けた肩書き「顧客視点アドバイザー」を名乗ってから、すでに6年になります。当時は、「株式会社神原サリー事務所」をおこしておらず(この10月30日で丸4年)、友人と2人で立ち上げた「合同会社Asty&Sally」(2006年12月〜2008年9月)のころ、2人でずいぶん考えて生み出した肩書きが「顧客視点アドバイザー」だったのです。

このころ、私自身は家電分野で日経トレンディネットに執筆をしたりと、いわゆるジャーナリストとしての活動をしていましたが、Asty&Sallyで目指したのは、『企業と生活者の橋渡し』ということ。よく“女性視点”とか“生活者視点”という言葉は使われますが、そうではなく、もう少しマーケティング的に説得力のある言葉を使いたいと思い、編み出したのが「顧客視点アドバイザー」だったのです。

「顧客視点アドバイザー」の名称は、合同会社Asty&Sallyを解散し、個々に歩んでいくことになったあとも、個々に名乗っているので、検索してみてもあがってくるのは私か彼女のいずれかでした。

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これが、当時(まだ本名で仕事をしていたころ)の名刺です。

その後、家電分野で、自分自身がジャーナリストとして執筆する以外にも、さまざまなメディアから出演依頼があり、その際の肩書きとして「顧客視点アドバイザー」を名乗ろうとしたことも多々あるのですが、世の中に周知されている肩書きではないことなどから、新聞や雑誌ではなかなかこの「顧客視点アドバイザー」を取り上げてもらえませんでした。

また、家電関連ではやはり「家電〇〇」と名乗ったほうがわかりやすいこともあり、「家電コンシェルジュ」という肩書きと併記して名刺を作るようになったのです。一般の生活者向けに名乗るときには「家電コンシェルジュ」であり、メーカーさんなどの企業の方へのコンサルティングの仕事の際には「顧客視点アドバイザー」と名乗るようにしながら、地道に活動を続けるうちに、どちらも広く認めてくださるようになり、とてもうれしく思っています。

今では、新聞・雑誌・テレビ等での紹介の際には「家電コンシェルジュ&顧客視点アドバイザー」としてプロフィルを紹介されることが多いですし、そして先日のCEATECでの講演の際にも「家電コンシェルジュそして顧客視点アドバイザーとして活躍されている」という表現で紹介していただきました。

そして、今回、びっくりしたのが、ITビジネスアナリストの大元隆志氏が、Yahoo!ニュースに新設された「個人カテゴリ」の中でオーサーとして執筆を開始する際に、自らの肩書きを「ITビジネスアナリスト/顧客視点アドバイザー」と名乗っていること。この記事で、大元氏は「一顧客」という視点で、「消費者からすればこう見えているのでは無いか?」ということをメーカや業界に訴えかけていきたいという思いで『顧客視点アドバイザー』と名乗るようにした」と書いています。

私自身がこのブログの初回に下記のような記事を書いたときの気持ちと同じなんですね。

ご挨拶にかえて: 神原サリーの顧客視点マーケティング

実は、大元氏とは今年の4月初旬に開かれた、IT関連に造詣の深い方々が集まるお花見の会で初めてお目にかかり、まさに意気投合して、1時間くらい熱心に話しこんだのでした。そうした経緯があるので、大元氏が私の「顧客視点アドバイザー」という肩書きに強い関心を持ってくださったのだなと、感慨深い気がしています。

消費者の思いや願いを企業に伝え、企業の思いを生活者に伝える橋渡し役でありたいと願って、自ら名付けた「顧客視点アドバイザー」という肩書きが、これからもっと広まるかもしれません。でも、その一歩を踏み出したのがまだヒヨッコだった2006年当時の私だったこと、ここまで続けてこられたことを誇りに思って、これからも歩き続けたいと思います。

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大元 隆志の記事一覧 - 個人 - Yahoo!ニュース



2012年10月12日

新宿「ビックロ」の売り場を見て思うこと

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

9月27日にオープンした新宿の「ビックロ」に、ようやく行くことができました。ビックカメラとユニクロのコラボレーションによる、その名も「ビックロ」。話には聞いていたけれど、どの程度融合した売り場ができているのかと興味津津だったのです。

私は丸ノ内線の新宿三丁目駅から直結している地下の入り口から入ってしまいましたが、1階のエントランス部分には、こんなふうにユニクロのウルトラライトのダウンベストを着たマネキンが、エレクトロラックスの人気クリーナー「エルゴラピード」を持っていて、「おお!」とうなってしまいました。カラフルですし、楽しいです。ユニクロとビックカメラ(=家電)が融合しているなあということを象徴していますよね。

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右手には同じくダウンベストを着たマネキンがダイソンのクリーナーDC46を手に持って掃除をしているではありませんか。ベストのカラーとクリーナーのカラーを合わせているところもお見事です。

実際にはユニクロとビックカメラの売り場は階によって分けられていて、エントランスでの展示はあくまでイメージではあるのですが、それでも生活家電売り場の暖房家電のコーナーのそばに、ユニクロのリラックスウェアなどが展示されていたりして、それとなく誘導しています。

数年前の倉庫のような家電量販店から見たら、ずいぶん様変わりしたと思いますし、異業種とのコラボはこれからの店舗のあり方を示していると思います。ただ、1階以外は、まだこなれていない感じなので、さらにもう一工夫が欲しいところ。

来週水曜日には、テレビのロケで再び「ビックロ」さんにお邪魔するので、理想の形はどんなものなのか、さらに考えてみたいと思います。

2012年10月08日

先見の明!?8月に書いた記事と同じテーマが、またまた日経MJに登場です

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

先週、10月5日の日経MJ14面では東京都町田市にある電器店「でんかのヤマグチ」のことが大きく取り上げられていました。

このコーナー、先日も「西友のKY TIMESのこと再び〜顧客に何を伝えるか」という記事にてお伝えしたように、1か月前にここで取り上げた西友のフリーペーパー形式のチラシ「KY TIMES」のことが、同じ視点で記事にされていて、私の目のつけどころは間違っていなかったのだなと思ったわけですが、またまた、私が8月7日にここで取り上げた『粗利益率38.9%、「でんかのヤマグチ」の見える化とは?』と同じ内容。

最も、私の8月7日の記事のそもそものきっかけといえば、日経MJと同じ系列の日経トップリーダーなので、決して私の記事がヒントになって、MJの記事になったなんてことはないと思うのですが、いずれにしてもMJよりも先行してここで取り上げていることをうれしく思っています。

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先日、ご紹介した 『サトーカメラ』にしても、『でんかのヤマグチ」にしても、独自の手法で顧客と向き合い、大手家電量販店とは異なるアプローチ(=価格競争ではない)でがっちりと顧客の心をつかんでいるのですよね。

まだ、どちらのお店にも実際には足を運べていないので、ぜひお店を訪れて接客を受けてみたいものだと思っています。



2012年10月04日

買い物に行けないママのためのサービス「Amazonファミリー」、さすがです。


こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

Amazonの新しいサービス「Amazonファミリー」をご存知ですか。私は、Amazonプライム会員になっているため、当日もしくは翌日配達のお急ぎ便を利用でき、本当に便利だなあと思っています。3900円の会費は必要だけれど、それこそ消しゴム1個からでも無料で配達してくれるし、重いものでも、家のドアまで配達してくれるなんてある意味夢のようです。

こうしたお届けサービスは、働いている女性やネットに抵抗のないシニア層にも便利ですが、実はよく考えると、出産直後や赤ちゃんを置いたまま買い物に行くわけにはいかない「ママ」が一番、「よかった!」と感じるもののはず。

今回の新しい「Amazonファミリー」サービスは、普通の Amazon プライムとは違って、定期おとく便だとおむつやおしりふきが15% off になったり、限定サービスやセール等のお知らせがあるもよう。しかも、最初の3ヶ月間無料でスタートできるということで、まずはファン作りをして末永く利用して欲しいという作戦のようです。

こうしたサービスを新たに立ち上げなくても、普通にAmazon プライム会員になって、お急ぎ便や日時指定サービスを利用して、おむつを買ったり、日用品の買い物に役立てばいいのかもしれないけれど、「Amazon ファミリー」という名前をつけることで“私へのサービス”だと気づかせてくれるところが、さすがとかと思うのです。

今あるサービスを上手に使える人だけではなく、こんなサービスもあったのだと気づかせてくれること、実は大切ですよね。それはサービスてなくても何かの製品でも同じこと。それは私には関係ないと思っている人に、「これいいな」と思わせること、新たな提案が大切なことだと思うのです。




2012年10月01日

【CEATEC2012】10/2、JEITAのブースにてお話しします〜テーマは「家電の最新動向とスマートハウス」

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こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

明日10/2〜10/6、幕張メッセにて「CEATEC JAPAN2012」が開催されます。最先端のIT&エレクトロニクス総合展のCEATEC、今年のテーマは「Smart Innovation〜豊かな暮らしと社会の創造〜」。

毎年、AV機器やPC,IT関連など、いわゆる黒モノ家電が主な出展になっているCEATECですが、今年のテーマが“スマートイノベーション”ということでスマートハウス関連等の展示も多いようで、何とバリバリの白物専門の私に講演のお声が掛かりました。

JEITA(一般社団法人  電子情報技術産業協会)のブースに設けられた、プレゼンテーションステージにて、明日10/2の午後、15分の短い時間ですが、「家電の最新動向とスマートハウス」というテーマでお話しします。難しい話は専門家の方がきっとたくさんされると思うので、私は白物家電の最新動向と、スマートハウスのこれから(こうだったらいいのにな)について、お話しするつもりです。

明日はプレス関連など、招待客のみの入場の日なので、一般の方々は入場できないのですが、プレス関連で取材に来られる方、出展されるメーカーの方で、ご興味のある方は、JEITAのブースまで足をお運びいただければ幸いです(と宣伝して、プレッシャーを大きくしている私ですが、がらんとして誰もいないのもさびしいので)。

⇒詳細はこちら JEITA CEATEC JAPAN 2012 『JEITAブース』について