2012年10月01日

【CEATEC2012】10/2、JEITAのブースにてお話しします〜テーマは「家電の最新動向とスマートハウス」

CEATEC_JEITA.jpg

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

明日10/2〜10/6、幕張メッセにて「CEATEC JAPAN2012」が開催されます。最先端のIT&エレクトロニクス総合展のCEATEC、今年のテーマは「Smart Innovation〜豊かな暮らしと社会の創造〜」。

毎年、AV機器やPC,IT関連など、いわゆる黒モノ家電が主な出展になっているCEATECですが、今年のテーマが“スマートイノベーション”ということでスマートハウス関連等の展示も多いようで、何とバリバリの白物専門の私に講演のお声が掛かりました。

JEITA(一般社団法人  電子情報技術産業協会)のブースに設けられた、プレゼンテーションステージにて、明日10/2の午後、15分の短い時間ですが、「家電の最新動向とスマートハウス」というテーマでお話しします。難しい話は専門家の方がきっとたくさんされると思うので、私は白物家電の最新動向と、スマートハウスのこれから(こうだったらいいのにな)について、お話しするつもりです。

明日はプレス関連など、招待客のみの入場の日なので、一般の方々は入場できないのですが、プレス関連で取材に来られる方、出展されるメーカーの方で、ご興味のある方は、JEITAのブースまで足をお運びいただければ幸いです(と宣伝して、プレッシャーを大きくしている私ですが、がらんとして誰もいないのもさびしいので)。

⇒詳細はこちら JEITA CEATEC JAPAN 2012 『JEITAブース』について




2012年09月30日

歯磨き粉もシャンプーもキーワードは“個人ニーズ”への対応

dental_care.jpg

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

突然ですが、家に歯磨き粉、何種類置いてありますが? バスルームのシャンプーは?

わが家ではご覧のように歯磨き粉が洗面所に3本、バスルームにも違う種類のが1本。シャンプーは家族3人、それぞれ違う種類のものを使っています。

歯磨き粉もシャンプーも高級化が進んでいるだけでなく、個々の悩みや「洗い上がりをこうしたい」などの要望に応えるために“1人1本”の時代になってきているのだといいます。先日、新聞に数字も出ていましたが国内の歯磨き粉市場は1980年代〜2000年までは600億円台で推移していたのに、今世紀に入ってから「1人1本」需要と、単価アップが重なって、700億円を突破したのだとか。

これまでシャンプーや歯磨き粉といえば家族で共有が当たり前。年頃の女の子がいる家庭では、「お母さんと娘用」のちょっと高級で香りのいいものが別に置かれていたりしたくらいでした。それがスカルプヘアだったり、エイジング世代用の「ハリとコシを与える」ものだったり、カラーリングヘア用だったりと本当に多種多様になって、個人のニーズに合わせたものをそれぞれが選んで使うようになってきたのですね。

さらに言うなら、その時々に応じて、1人で何種類もの歯磨き粉やシャンプーを使い分けている人だっていることでしょう。

歯磨き粉やシャンプーはとてもわかりやすい例ですが、日用品の「個人ニーズへの対応」というのは、実はもっと多岐に及んでいるように思います。洗濯用の洗剤しかり、ボディシャンプーや石けんしかり。今後、家電にもこうした考え方は広まるように思います。

現に、毎日のごはんも、お母さんは健康のために玄米を食べたいけれど、お父さんや子どもたちは玄米を好まないので、自分用の玄米をまとめて炊いておいて冷凍しておき、家族用には普通に白米を炊いて、自分はレンジで温めた玄米を食べている・・・というような話も聞きます。
となえうと、1台の炊飯器で多種多様に炊ける機能がついていることよりも、小さな炊飯器でそれぞれを炊くという家も出てくるかもしれません。

「個人のニーズへの対応=カスタマイズ化できること」というキーワードの中に、これからの製品づくりのヒントがあるように思います。



2012年09月27日

【戦略経営者10月号インタビュー掲載】中小家電メーカーに送るメッセージ

TKC20121001.jpg

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

TKCが発行している月刊誌「戦略経営者」10月号の巻頭特集は「ナショナルブランドに挑む中小家電メーカー奮闘記」。このビジネス&マーケティング誌は“年商50億を目指す企業の情報誌”がコンセプトですでに312号も発行している老舗の月刊誌です。

で、この特集ページにて、見開き2ページのインタビューを受けものが掲載されました。家電業界の現況や、顧客のニーズとはどこにあるのか、どこを攻めていくことが大事なのか・・・など。

TKC_interview2.jpg

私がインタビューをしてそれを記事にすることはあっても、私自身が述べたことがこうした記事になることは、そんなにないので身が引き締まる思いがします。

家電コンシェルジュとして家電業界を取材し、消費者にわかりやすく伝える仕事をしている一方で、顧客視点アドバイサーとして企業の方のお手伝いをしているその両面をみてくださったのだと感謝しています。

もしも、お手にとる機会があったら、ぜひお読みくださいませ。ここに書いてある内容は家電業界に限らず、いろいろな業界・業種に共通することだと思います。

TKC_interview.jpg



2012年09月24日

英国で見つけた「附録付き雑誌」はやっぱりオシャレ!

HOUSE&GARDEN.jpg

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

8月末〜9月上旬にかけて8日間にわたってドイツ、スウェーデン、ハンガリーへ海外取材に行ってきました。行きも帰りも英国ヒースロー空港でのトランジットが結構長く、特に帰りの便では4時間程度あったので、空港内を散策(?)する時間がずいぶんありました。そんな時間、書店で雑誌や書籍を見るのは楽しいものです。雑誌の判の大きさの違いにへーと思ったり、特集ページやファッション誌でトレンドを探ったり。

仕事柄、海外のキッチン家電のことを知りたいと思い、インテリア雑誌を2冊購入したのですが、そのうちの1冊は、ご覧の通り、手帳の附録付き! インテリア雑誌以外にも、いくつか附録がついているものを見かけたので、日本の宝島社の「エコバッグ付きファッション誌」みたいな流れは、世界的な潮流なのかなと。

で、私自身、購入のきっかけになった「HOUSE&GARDEN」誌の附録の手帳ですが、これってファブリックメーカーの老舗「GP&JBAKER」のものなのですよね。本誌をひっくり返してみると、今回の手帳の柄と同じ壁紙が張られた部屋の様子が一面に描かれていて、同社のタイアップ企画なのだなあとわかりました。

GP&JPAKER.jpg

帰国後、あらためてこのGP&JBAKER社について調べてみると、ジョージ・パーシブルとジェームズ・ベーカー兄弟によって1884年に創業したファブリックメーカーで、伝統的かつ独自のテキスタイルを次々に生み出しているのですね。王室御用達のファブリックメーカーとして王室の住まいに多数使われているそうです。

私が空港の書店でついつい、手にとってしまったのも、やはりデザインの美しさと、ハガキサイズの手ごろな大きさの手帳ということから。表紙部分もとてもしっかりとしていて、高級感がある作りになっています。

日本ではエコバッグ一辺倒からポーチその他、附録のバリエーションも増えてきていて少しずつ流れも変わってきているように感じます。また機会があったら、海外の書店をのぞいて、どんな附録がついているのかチェックしてみたいなと思います。そこにはきっとお国柄も表れているでしょうし、今後の何かのヒントが潜んでいることでしょう。

とても素敵なサイトです。 GP & J Baker



2012年09月22日

西友のKY TIMESのこと再び〜顧客に何を伝えるか

SEIYU_KY365.jpg

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

昨日(2012年9月20日付)の日経MJ14面、ご覧になりましたか? 私が先月ここで取り上げた西友の新聞風のチラシ、「KY TIMES」のことが大々的に取り上げられていました。

単純に読み物として読者の関心を呼ぶ紙面構成にこだわっていることや、1面から終面までのページの流れの仕組みなど、私の気づきと同じことが書かれていて、「ほほー、私も先見の明があったなあ」とにんまりした次第です。

でも、さすが日経MJですから、ちゃんと西友の広告宣伝部のシニア・ダイレクターの方に取材をしており、紙面のカラーについても触れていました。私は黄色と赤の配色のものがなくなってしまったのだと勘違いしていましたが、これは食品が中心の場合で、住居雑貨や衣料が中心の場合には、先日ご紹介したように白地に青を配色して落ち着いた感じに見せているようです。

2011年9月に始めた(つまり、ちょうど1年前ですね)KYタイムスですが、約700万部を月に1回配付。紙媒体の宣伝費はチラシだった2008年に比べ、45%も減ったといいます。一方、KYタイムス見た人はチラシの時よりも10%以上アップしているという調査結果が出ているそう。独自性を評価し、“興味をひかれた”人も全体の72%にも。

MJで、山根清志記者も「値下げ競争に陥りがちな商品と価格ばかりのチラシを見直し、顧客に季節ごとの暮らし方や新しい生活のアイデアをじっくり伝える工夫はほかのツールでも実践できるはず」と結んでいます。

本当にそのとおり。何も手間のかかる新聞を作ることが素晴らしいのではなく、お店の姿勢を伝えられるような、捨ててしまわずとっておきたくなるようなチラシを作ったり、店頭のPOPで伝えたり、さらにはネットショップでのページづくりを考えたり。“伝える工夫”、まだまだきっとあります。

これぞコト提案〜西友の「KY TIMES」が面白い!: 神原サリーの顧客視点マーケティング



2012年09月21日

“50歳から”のシニアブランド!?

grandfit_1.jpg

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

ベビーブームの時に生まれた団塊の世代が定年を迎え、高齢者の人口比率がますます高まって、狙うは“シニア市場”だといわれています。私が専門としている家電分野もまたしかり、いわゆるディンクス等の高所得の少人数世帯に加え、子どもが巣立った後の夫婦二人世帯向けの「小さくて高機能”な家電が注目されています。

そして、またアンダーウェアやパジャマ、レッグファッションなどの繊維業界も、決して見過ごすことができないのが、このシニア市場なのです。「シニアのための下着」というと、たとえば新聞の全面広告などに見られる「漏らしても安心」「100CCまでしっかり吸収するから、旅行も楽しめます」などというものを思い浮かべる方が多いかもしれません。若い人から見たら、“介護される一歩手前”というイメージでしょうか。

ところが、まだそこまでは行かなくても、男性の場合、40代後半から50代になるとトイレに行った後の“切れが悪く”なり、スラックスへの染みが気になる・・・という人もだんだん増えてくるのだとか。

grandfit_3.jpg

また、体型も知らず知らずのうちに変化して、これまでのシャツでは何となく前身ごろの肩から胸のあたりにかけてシワが寄ってしまったりしてフィット感がなくなるのだそうですね。アンダーウェアがぴったりしていないと、必然的にワイシャツを着た際にもパリッとした風に見えず、姿勢もよくないように見えてしまうといいます。

そんな体型の変化や、トイレの後のちょっとした悩みに応えるべく誕生したのが、グンゼの「GRANDFIT(グランフィット)」というブランド。

grandfit_4.jpg

化粧品などもそうですが、これまで女性向けには年代向けに「〇歳からの」というような打ち出し方をした商品が多く出ており、ターゲットをしぼって、機能などをはっきりとわかりやすく謳っていますが、実は男性向けにはそうした商品というのはほとんど存在しません。

案外、男性のほうがプライドが高くて、年齢をはっきりと打ち出されるのがきらいなのかもしれません。

というわけでグンゼが今回、新ブランド「グランフィット」について、“50歳からの”とはっきり示しているのは、大きなチャレンジなのです。

grandfit_5.jpg

よく見ると、このように「尿じみ対応」「はっ水加工」「表面へのしみを防止」などのPOPも見られ、「実はみんな悩んでいるんですよ」ということを説明しています。

grandfit_2.jpg

先ほど例に挙げたような、いかにも老人向けという下着を通販などで買うところまではいっていないけれど、ひそかに悩んでいたことが解決されたらうれしい・・・というところに着目。デザインも白や黒のブリーフだけではなく、ストライプ柄のカラフルなものも用意されていて、いいなと思います。

それに、こんなふうに説明しておいてくれたら、だんなさんの下着を買いに行った奥さんも「困っているかどうかはわからないけれど、試しに買ってみたら喜ばれるかも」と選ぶかもしれません。

「これは、あなたのために考えたものですよ」ということがしっかりと伝わることって大切ですよね。

-----

とはいえ、「50歳からの」と打ち出していながら「新・シニアブランド」と名打っているのはちょっとどうかなとも思うのです。だって、50歳の人が「シニアブランド」ということに納得すると思います?

このあたり、「熟年」「壮年」あたりにも通じることですが、何かほかにいい言葉ないかなあと思います。まあ、冒頭の画像に書いてある「新・シニアブランド」というのは、展示会での説明パネルなので、あくまでも業界の内輪向けの話で、顧客に向けて「50歳からの新・シニアブランドです」とは言わないとは思うのですが。

いずれにしても、加齢による悩みに応えるべく機能性は高めつつも、デザイン性は損なわないおしゃれなもの・・・というのは、このようにアンダーウェアの世界にも続々登場してきているのです。今回は男性向けのものに着目しましたが、もっともっと進んでいる女性向けの下着の現状についても、またあらためてご紹介したいと思います。



2012年08月29日

『日本でいちばん楽しそうな社員たち』〜来店リピート率82%、利益率41%のひみつ

satocame.JPG
日本でいちばん楽しそうな社員たち

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

先日、TKCが発行する「戦略経営者」という中小企業向けのビジネス&マーケティング誌のインタビュー取材を受ける機会がありました。掲載は10月号だそうですが、見本誌としていただいた8月号の「今月の1冊」というコーナーに紹介されていた「日本でいちばん楽しそうな社員たち」(佐藤勝人著・アスコム発行)に心引かれ、さっそくAmazonで注文してみました。

そのおもしろいことといったら! 読み始めたら止まりません。だって、著者である佐藤勝人氏が代表取締役専務を務める「サトーカメラ」では、接客に2時間3時間かけるのも当たり前。6時間ということだってある“非効率さ”。それなのに来客リピート率82%、利益率41%なのですよ。栃木県のカメラ販売シェアは並いる大手家電量販店・カメラ系量販店を引き離して、15年連続ナンバー1。デジタル一眼レフカメラの販売シェアは60%以上にも達するというのですから、すごいではありませんか。

大手のターゲットは、栃木県の人口の10%程度である「カメラを買いたい、興味のある」・・・という人たちだけれど、サトーカメラはカメラに興味のない90%をもターゲットとしてお客さんの『想い出を一生キレイに残すために』をモットーに、接客にあたります。まずはカメラプリントに興味を持ってもらい、1枚1枚の写真を通じて会話を広げ、カメラへの興味へとつなげるやり方は本当に手間がかかりそうにも思います。

でも、タイトルにあるようにサトーカメラの社員さんたちは誰もが本当に楽しそうなのですよね。そこに感動があります。読んでいて、顧客からの苦情電話などに5〜6時間かけるのも当たり前という「ザッポス」のことを思い出しました。

効率化を求める世の中、そして「売れる」ための仕掛けを考えるのが当たり前の世の中・・・その中でサトーカメラで実践されている「売ることの楽しさ」を教えるという話は、本当に心に響きました。

ぜひぜひ、多くの人に読んでほしい1冊だと思います。



2012年08月20日

「もしもの備え」を自分のためでなく、“大切な人に贈る”という提案

MUJI_itsumo.jpg

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

先日、原宿方面に取材に行く機会がありました。予定よりも早めに着いたので、すぐ近くにあった「無印良品」のお店へ。夏のSALEも終わりに近づいて、魅力ある品が破格の値になっていたのですが、仕事の途中で買い物をするわけにもいかず、残念な気持ちいっぱいで見送りました。そろそろ時間かな・・・と思って取材先に向かおうとした時、お店の片隅にあったパンフレットが目に入り、思わず手にとって、そのままバッグに入れて持ち帰りました。

無印良品の「ITSUMO MOSHIMO」は、「もしもに備えることは、ふだんのくらしを見つめ直すこと」であり、「備えは日常の中にある」として昨年に提唱され、大きな注目を浴びました。そんな「いつも もしも」が2012年に提案しているのは、なんと「大切な人にもしもの備えを贈る」ということ。もちろん、すでに自分の備えはできているはずだから・・・という大前提があるわけですが、「備えを贈る」という発想、素晴らしいではありませんか。

MUJI_itsumo_2.jpg

このA4に折り畳まれたパンフレットを開くと、「15のもしもの知識」が登場します。これは、すべて「いつもの身の回りのものが、もしもの備えになるのですよ」という啓蒙。

最近ちょっと気になる「丁寧に暮らす」という言葉にも通じるものがあります。

MUJI_itsumo_3.jpg

そしてすべてを開いてみると(A4×8枚分の大きさ)、そこには「10のもしもの贈り物」が提案されているのですよね。

MUJI_itsumo_4.jpg

例えば、こんな提案もあります。「同僚から、独立した新人デザイナーへ」

MUJI_itsumo_5.jpg

定番かもしれませんが、「実家の両親へ」というものも。

MUJI_itsumo_6.jpg

ここですごいなと思うのは、こうしたものを「セットにして売っているのではない」ということ。両親の顔を思い浮かべながら、いつもの暮らしに役立つような身の回りのあれこれを選んでみてはどうでしょう?と書かれていて、写真はあくまで参考の品。でも、下着や流せるエチケットシート、歯磨きセットやウェットティシューなど、チェックしてみていくうちに、「なるほど、こんなものがあると役立ちそうだな」という気持ちにさせられます。

母から1人暮らしの息子に贈るセットは、キャスター付きのストッカーに入れて贈る食料品のあれこれ。「食べたら補充しておくことで、もしもの備えになりますよ」というのは、目からウロコの提案だと思いました。こういうことは、自分の家ではやってあっても、「大切な人への贈り物に」なんてなかなか考えられません。

先日、家電関連の製品で「防災用品」にもなりそうなものをご紹介いただきました。こうしたものも、ただ「これがあれば便利ですね」ではなくて、自分が便利に使うだけでなく、「大切な人にプレゼントしてはどうでしょう」と提案するだけで、きらりと光って見えるように思いました。

この提案、ネットストアでも行われています。

大切なあの人に贈る。「いつも」の品で「もしも」の備え。 | 無印良品ネットストア





2012年08月14日

P.G.C.D.〜創業者からの60通のメッセージと、それから。

ph_1.png

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

今日は私が9年間愛用しているスキンケアメーカー「P.G.C.D.(ページェーセーデー)」の創業者、野田憲男氏のことを紹介したいと思います。実は、このことについては、すでに私が毎月、原稿を執筆しているマーケティング専門誌「月刊アイエムプレス」にて掲載していますので、その時の文章をここに転載させていただきます。

-------
買収工作の危機を乗り越えた
化粧品メーカーのある取り組み


■社長が毎月送り続けた顧客へのメッセージ

毎月1日になると愛用している化粧品メーカー「P.G.C.D.」の代表取締役社長・野田憲男氏から「ご挨拶」と題したメールが届くようになって5年になる。毎回、1500字近くの長文で季節の挨拶から始まり、新入社員のエピソードや雇用の話、経済の話し、日々の思いなど多岐にわたり、特段商品のアピールをするわけでもない。届き始めた当初は、社長からのメッセージの体裁をとった新しい手法のメールマガジンで、きっとゴーストライターのような専門の書き手がいるのではないかと勘ぐっていたこともある。だが、とりとめのないようでいて、経営理念がしっかりと反映され、社員の一人ひとりを温かくそして厳しく見つめている様子が伝わってくる“社長からの手紙”に、「これは本当に野田氏からの顧客に対するメッセージなのだ」と確信し、いつか心待ちにするようになっていった。
 

■創業10年目に起こった買収工作で出荷停止に

(株)ペー・ジェー・セー・デー・ロジは、前身の(株)ペー・ジェー・セー・デーとして1999年に創業したスキンケアメーカーだ。フランス産の原材料にこだわった洗顔用石けんと美容液、日焼け止め用美容液などを「P.G.C.D.」というブランド名で発売、2ステップのシンプルなスキンケアを提唱し、“ファンデーション不要の素肌美”をコンセプトにしている。インターネットのみでの販売は現在では当たり前になっているが、テレビも新聞も使わずに専用のウェブサイトだけで行うのは当時としてはまだ新しい試みだったといえるだろう。その後、渋谷に自社ビルを建設し、サロンも併設。スキンケア講座を行うなど順調に顧客を増やし、約10年後の2008年3月期には年商18億にまで成長している。

ところが2009年12月、突然の買収工作のため出荷ができない状態となり、約2か月間、同社のサイトにはすべての商品が「欠品」と表示されることになったのだ。買収工作への対抗策として第2会社を設立。これが現在のペー・ジェー・セー・デー・ロジであり、新生「P.G.C.D.」となってから丸2年が経つ。出荷停止となってから2か月目に石けんの発売が再開されたものの、すべての製品がそろったのはそれからさらに7か月後のこと。かなり多くの顧客を失ったことは想像に難くない。 だが、同社は2011年の「Yahoo!BEAUTYあなたが選ぶ通販コスメ大賞」にノミネートされたすべての部門に入賞を果たすなど大きな支持を得て、復活を遂げている。

■トップのキャラクターこそが“ブランド”

月1回の社長からのメッセージは、こうした買収工作というアクシデントの3年前から始まっており、欠品のさなかにはタイトルが「お詫びとご挨拶」と変わりながらも、同社の状況や製品づくりへの思いなどが、相も変らぬ長文で届けられていた。当時のメールを振り返ると「この時期にお叱りに混じってお寄せいただいたお心使い改めてお礼申し上げます。直筆のお便り、お花、さりげなく同封いただいた示唆溢れる書籍。お客様との心の通い合いを宇宙のエネルギーのように感じたものでした。この世には善が溢れています。」とある。同社の製品を愛用している人が自分で使うために一日も早い出荷を願ったというだけでなく、その企業そのものを愛し、応援している様子が伝わってくる。

企業トップの生の声を届けることでブランドの個性を磨きたいと、月に一度メールを定期的に送ってきたという野田氏。今では企業経営の悩みを相談するメールが来たり、子育てに関して父親の役割について質問されたりとビジネスを超えた信頼関係を築きあげており、“トップのキャラクターこそがブランド”だと実感しているという。これはツイッターやフェイスブックなどのSNSの原型ともいえる形なのではないだろうか。4月からは双方向でのコミュニティの質を高めるべくステップアップを図ると聞いてわくわくしている。

--------

ph_2.png

こうしてこの春、60通目をもって「社長からのメッセージ」は一旦終了したのですが、2か月後の6月に希望者を募って再開されています。実はすでに64歳になられるという野田氏は、この4月から社長の座を息子に譲ったのでした。その後、どんな形でコミュニケーションを再開するかについてはずいぶん話し合いがもたれたようですが、野田氏からのメッセージは、これまでどおりの「メール」という形で残すのが一番ではないかと。

同社はWEBサイトも刷新され、新たな息吹を得て、さらに飛躍しようとしています。

私自身が9年間も愛用しているのは、ものづくりへの姿勢や顧客へ真摯な対応というのもありますが、「ファンデーション不要の素肌美」を目指すというコンセプトが気に入っているから。それに肌にも合っているのでしょう。ここ1〜2年、テレビや雑誌などへの出演が増え、収録や撮影時にはどうしてもファンデーションを塗らないといけないために、なかなか“素肌美”をお見せすることができないのですが(笑)、普段の打ち合わせ等では「ポイントメイクのみでファンデーションなし」の姿勢を貫いています。

こんなP.G.C.D.の誕生に至るまでのストーリーについては、野田さんご自身が2006年1月31日〜12月29日の1年間かけて、ブログに綴っていますのご興味がある方はぜひ。

P.G.C.D. STORY:




 

2012年08月13日

“東北福興弁当”のお品書きと、あぶくま食品の「若桃の甘露煮」と。

東北福興弁当.JPG

こんにちは。顧客視点アドバイザーの神原サリーです。

先週、出張で久しぶりに仙台を訪れました。お手伝いしていた某製薬会社の会員向け冊子の仕事や、売り場作りのアドバイスの仕事で、足しげく通っていたこともある仙台や石巻の街。震災以前に仕事が終わっており、震災以降もなかなか足を運ぶきっかけがなかったのですが、今回、3年ぶりの再訪となりました。

学ぶことが多く、実りの多い出張を終え、帰りの新幹線での昼食にと仙台駅で買い求めたのが「東北福興弁当」。“みちのくのおいしいを集めました。”というキャッチフレーズに惹かれたこと、少しでも復興のお手伝いになればと思ったのですが、おいしさだけでない思わぬ気づきがたくさん詰まったお弁当でした。

tohoku_hukkou_2.JPG

包みを開けると出てきたのは、「お品書き」。よくあるのは、献立表のように文字だけで書かれたものですが、こえれはお弁当の写真がまん中に配置され、その1つ1つの説明が吹き出しで書かれています。

1つ口に入れるたびに、「これはどこの何という名産なのだろう?」と照らし合わせたくなるのが人情というもの。「秋田県産“比内地鶏”の煮卵」とか「青森県産さめフライ」「山型庄内浜産さわらの“つや姫”麹醤油漬焼き」など、どれもこれも滋味あふれるものばかり。

肝心のお弁当そのものの写真を撮るのも忘れて、無心になってお品書きを確かめつつ、ひたすらお弁当を味わいました。

で、このお品書きが素晴らしいのは、これだけじゃないんですね。実はここからが重要ポイント。

tohoku_hukkou_1.JPG

何気なく裏を返してみると、そこには「東北福興弁当に盛り込まれた、東北各地の素材と食産業事業者のご紹介」とあり、表のお品書きに☆が付けられたお料理の名前と、それらを提供している業者さんの名前が書かれているではありませんか。

つまり、「これ、おいしいな」「おっ、今度、うちでもこの食品を使ってみようか」と思ったら、ちゃんと連絡が取れるように配慮してあるのですね。これこそ「福興ならぬ復興のお手伝い」ではありませんか。

この「東北福興弁当」は、中小機構東北の協力を得て、日本レストランエンタプライズが製造・販売しているものですが、大変素晴らしい試みだと思いました。

-------

wakamomo.jpg

中でも私が「これはおいしい!でも、何だろう?初めての味だけれど」と心を惹かれたのは、あぶくま食品さんの「福島県産若桃の甘露煮」でした。

気になって調べてみたら、この「若桃の甘露煮」というのは、漬物製造会社のあぶくま食品が福島大学などとの共同で開発したもので、今から3年前の2009年から発売されているようです。これまで捨てられてしまうことの多かった若桃を活用して、全国2位の桃の産地である福島県の新たな食材として広めていこうとしたものなのですね。

直径3センチメートル前後の小さな青い桃を加熱して自然な甘みを生かして種まで食べられるように仕上げられており、ほんのり甘く、香りも上品で本当に美味。特にお弁当の箸やすめ的な役割として光っているなあと思いました。

私は福島が桃の産地だということさえ、あまり知らなくてお恥ずかしい限りですが、今回のお弁当での出逢いをきっかけに少しでも多くの人に知ってもらうお手伝いができたらと勝手に思っています。

検索したところ、あぶくま食品産の「若桃の甘露煮」にかける情熱を記したブログも発見しましたので、ご紹介します。

あぶくま食品株式会社若桃の甘露煮へのこだわり|もったいないから生まれます。